SSブログ
肺癌の新治療 ブログトップ

肺がんの治療に疑問を感じたら [肺癌の新治療]

41HErr1+f-L._SX352_BO1,204,203,200_.jpg

自分が、あるいは家族が肺がんと診断されて治療を受けようとしている方、受けている方がいると思いますが、医療機関から提案された治療に疑問を感じることもあるかもしれません。 日本肺癌学会では、診療ガイドラインを発行しており、毎年情報を更新しています。

https://www.haigan.gr.jp/modules/guideline/index.php?content_id=3

専門外の人でもできるだけ、わかりやすく記載されていますので(作成に関わったスタッフの方々に感謝です)、この情報をもとに自分の病状と合わせて相談をするのが良いと思います。 あくまでもガイドラインですから、このとおりにするのがベストという訳ではありませんので、個々の事情や希望も含め、しっかり納得するまで話し合うことが大事です。
nice!(0)  コメント(0) 

MET Exon 14 skipping とMET阻害薬 [肺癌の新治療]

プレゼンテーション1.jpg

肺腺癌の4%程度の患者さんにMET Exon14 skipping mutationという変異があることが最近報告
されており、この変異を有する患者さんはMET阻害薬が奏効することが示唆されています。
肺癌を扱う国際学術誌の一つであるJCOにその変異を有する患者の特徴が報告されました。

MET Exon 14 Mutations in Non–Small-Cell Lung Cancer Are Associated With Advanced Age and Stage-Dependent MET Genomic Amplification and c-Met Overexpression

・6376例の癌検体を次世代シーケンサーで解析
・上記解析結果をEGFR遺伝子変異陽性肺癌、KRAS遺伝子変異陽性肺癌と比較した
・3%(28/933)の非扁平上皮非小細胞肺癌(NonSq-NSCLC)でMET exon 14 skipping 変異を認めた
・変異陽性患者は高齢者が多い(中央値72.5歳)
・68%が女性、36%が非喫煙者
・早期癌より進行癌の方がMET増幅を有し、cMETのIHCが強陽性となる症例が多い
・これらの多くがcMET阻害薬であるクリゾチニブが奏効していた

MET Exon 14 変異を有する患者にはクリゾチニブ(ザーコリ)が有用である可能性が示唆されます。

ROS1肺癌に対するクリゾチニブ [肺癌の新治療]

図1.jpg

Crizotinib Therapy for Advanced Lung Adenocarcinoma and a ROS1 Rearrangement: Results From the EUROS1 Cohort. Julien Mazières et al. JCO Mar 20, 2015:992-999; published online on February 9, 2015; 10.1200/JCO.2014.58.3302.

上の図はROS1陽性肺癌の組織像です。ROS1肺癌は肺腺癌の中でもALK陽性肺癌よりも希少な肺癌です。がん研究会がん研究所の竹内先生により発見されました。

RET, ROS1 and ALK fusions in lung cancer. Kengo Takeuchi et al. Nature Medicine 18, 378–381 (2012) doi:10.1038/nm.2658


欧州で行われたROS1再構成陽性肺癌に対するCrizotinib(クリゾチニブ)の臨床試験の結果がでました。

対象:ROS1再構成陽性肺癌、IV期(進行癌)
症例数:32例
患者背景:年齢中央値50.5歳、女性64.5%、非喫煙者67.7%

結果:奏効率80%、病勢コントロール率86.7%、無増悪生存期間(PFS)中央値9.1か月、1年無増悪生存率44%

以上の結果から、ROS1陽性肺癌に対するクリゾチニブは標準治療となる日が近いですね。

ちなみに、このような希少肺癌のスクリーニングプロジェクトをがんセンターが中心となって行っています。日本中に参加施設がありますので、興味のある方は下記をご参照ください。

http://epoc.ncc.go.jp/clinicaltrial/scrum_index.php

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康
肺癌の新治療 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。