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敗血症性ショック患者に対するステロイドの有効性(NEJMより) [ステロイド]

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これも2018年3月のNEJMからの報告ですが、臨床現場では敗血症性ショックに陥った患者さんに対するステロイドの有効性に関して議論がありますが、少量投与に肯定的な論調が多いように思います。
Effect of treatment with low doses of hydrocortisone and fludrocortisone on mortality in patients with septic shock. JAMA. 2002 Aug 21;288(7):862-71.
Hydrocortisone therapy for patients with septic shock. N Engl J Med. 2008 Jan 10;358(2):111-24. doi: 10.1056/NEJMoa071366.
しかし、この論文ではヒドロコルチゾン(コートリル 200 mg/日)の投与が部分的には有益であるが、90 日の時点での全死因死亡は延長しなかったと報告しています。NEJMでは過去の報告も有益ではなかったと報告されています。





背景
ヒドロコルチゾンによって敗血症性ショック患者の死亡率が低下するかどうかは明らかにされていない.

方法
人工呼吸管理を行う予定の敗血症性ショック患者を,ヒドロコルチゾン(200 mg/日)群とプラセボ群に無作為に割り付け,7 日間,または死亡するか集中治療室(ICU)を退室するまで投与した.90 日の時点での全死因死亡を主要評価項目とした.

結果
2013 年 3 月~2017 年 4 月の期間に,3,800 例を無作為化した.主要評価項目の状態が確認されたのは 3,658 例(ヒドロコルチゾン群 1,832 例,プラセボ群 1,826 例)であった.90 日の時点で,ヒドロコルチゾン群の 511 例(27.9%)とプラセボ群の 526 例(28.8%)が死亡していた(オッズ比 0.95,95%信頼区間 [CI] 0.82~1.10,P=0.50).事前に規定した 6 つのサブグループでも,試験レジメンの効果は同様であった.ヒドロコルチゾン群の患者では,プラセボ群の患者よりもショックの消失が早かった(期間の中央値 3 日 [四分位範囲 2~5] 対 4 日 [四分位範囲 2~9],ハザード比 1.32,95% CI 1.23~1.41,P<0.001).ヒドロコルチゾン群の患者では,プラセボ群の患者よりも初回の人工呼吸器装着期間が短かったが(中央値 6 日 [四分位範囲 3~18] 対 7 日 [四分位範囲 3~24],ハザード比 1.13,95% CI 1.05~1.22,P<0.001),再装着を考慮すると,生存し人工呼吸器を装着していない日数に有意差は認められなかった.輸血を受けた患者は,ヒドロコルチゾン群のほうがプラセボ群よりも少なかった(37.0% 対 41.7%,オッズ比 0.82,95% CI 0.72~0.94,P=0.004).28 日死亡率,ショックの再発率,生存し ICU を退室していた日数,生存し退院していた日数,人工呼吸器再装着,腎代替療法の施行率,菌血症または真菌血症の新規発症率に関して,群間で有意差は認められなかった.

結論
人工呼吸管理を行う予定の敗血症性ショック患者において,ヒドロコルチゾンの持続静注により,90 日死亡率がプラセボよりも低くなることはなかった.
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ステロイド投与による副腎機能不全のリスク [ステロイド]

肺がんの患者に限らず、呼吸器疾患に罹患(りかん)するとステロイドを使用する事があります。長期間にわたりステロイドを使用する場合、急な中断は副腎機能不全(二次性副腎機能不全)のリスクとなります。

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副腎は上記の図のように腎臓の上にのっかっているように存在する小さな臓器です。
小さい臓器ではありますが、ステロイドホルモンを分泌するとても大切な臓器です。

経口または注射等で体外からステロイドを投与すると、副腎はステロイドの分泌をやめてしまいます。つまり、副腎は仕事をしなくてもいいのだと理解し、ホルモンの分泌をやめてしまいます。そのため、ステロイドを長期にわたり投与する場合には少しずつ減量して中止する(漸減中止)必要があります。ステロイドを使用している人が、すこしずつ減量されて中止されるのはこのような理由からです。

ステロイドの漸減中止が必要なおおまかな基準は下記のとおりです。

【ステロイドの漸減中止が必要な基準(目安)】

・プレドニン(PSL)換算で20㎎/日を3週間以上投与されている

・夕食後または眠前に内服するプレドニンが5mg以上で数週間以上投与されている

・クッシング徴候(満月様顔貌など)を認める


上記のような場合には二次性の副腎機能不全を発症している恐れがありますので、ステロイドは漸減中止が望ましいと考えられています。



漸減される場合のスピードは、

・初回投与量がプレドニン40mg以上の場合には1~2週ごとに5~10㎎ずつ減量

・プレドニン20~40mg/日の場合は1~2週ごとに5mgずつ減量

・プレドニン10~20㎎/日の場合は2~3週ごとに2.5㎎ずつ減量

・プレドニン5~10㎎/日の場合は4週ごとに1mgずつ減量

・プレドニン5mg/日未満の場合は2~4週ごとに0.5㎎ずつ減量


上記がひとつの目安となりますが、実際にはもっとおおまかな漸減中止が行われています。

ステロイドの漸減中止について記載しましたが、ステロイドを投与したとしても、
「3週間未満のステロイド投与やプレドニン5mg以下の投与であれば、急な投与中止でも副腎機能不全のリスクは低い」
と言えます。


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