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ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は化学療法と併用することで効果が高まる [免疫療法]

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現在、ペムブロリズマブはPD-L1陽性非小細胞肺癌患者さんに対して、単剤での投与が承認されていますが、今月開催されたAACRで、化学療法との併用療法で治療効果が高まることが報告されました。この結果を元に、いずれは、初回治療から免疫療法+化学療法が標準治療になっていくことが予想されます。この組み合わせでは、副作用がそれほど増えないことがポイントであると考えます。
5/9追記: このKEYNOTE-189試験の結果をもとに、日本国内での進行・再発非小細胞肺癌に対する一次治療としての適応申請をMSDが行ったようなので、本治療はいずれ標準治療として日本でも使用可能となりそうです。




未治療進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対する初回治療として、ペムブロリズマブとペメトレキセドレジメンによるプラチナ併用化学療法の併用療法を検証した第三相臨床試験(KEYNOTE-189)において、ペムブロリズマブと化学療法の併用が化学療法単独と比較して、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)が延長したとGandhi氏が発表した。

本試験は、進行または転移性非扁平上皮NSCLC患者を対象に、ペムブロリズマブとプラチナ併用療法(ペメトレキセド+シスプラチンまたはペメトレキセド+カルボプラチン)を行う群とプラチナ併用療法のみ行う群の有効性を検証する二重盲検比較試験で616例の患者が登録された。主な適格基準は、EGFR遺伝子変異およびALK融合遺伝子転座を伴わない切除不能のIV期非扁平上皮非小細胞肺癌で、ECOG PS0または1、PD-L1の評価が可能な組織を有する症例とし、症候性の脳転移例やステロイド治療が必要な肺臓炎を伴う症例は本試験から除外された(図)。登録患者はペムブロリズマブ(200 mg)+ペメトレキセド(500 mg/m2)+カルボプラチン(AUC=5、3週毎、4サイクル)またはシスプラチン(75 mg/m2)併用療法群とプラセボ+ペメトレキセド+カルボプラチンまたはシスプラチン併用療法群に2:1で割付され、プラセボ群の患者は増悪後にペムブロリズマブによるクロスオーバー治療を受けることが許容された。主要評価項目はOSおよびPFSで、副次的評価項目は奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)であった。また、探索的評価項目として有効性におけるPD-L1の発現の影響や患者報告アウトカム(PRO)も評価された。

 ペムブロリズマブ群では410名が、プラセボ群では206名が割り付けされ、両群の患者背景には差は認められなかった。また、両群のPD-L1 TPSの発現割合に差はみられなかった。主要評価項目のOS中央値はペムブロリズマブ群で未到達、プラセボ群で11.3ヶ月であり、ペムブロリズマブ群で有意にOSの延長を認めた(ハザード比0.49、95%信頼区間0.38-0.64、p<0.00001)。12ヶ月生存率はペムブロリズマブ群で69.2%、プラセボ群で49.4%であった。OSのサブグループ解析では、年齢や性別、ECOG PS、喫煙歴、脳転移の有無にかかわらず、ペムブロリズマブ群で良好な結果が示された。PD-L1の発現割合別(TPS1%未満、1-49%、50%以上)による解析でも、PD-L1の発現に関わらず、ペムブロリズマブ群でOSの延長が示された。もう一つの主要評価項目であるPFS中央値はペムブロリズマブ群で8.8ヶ月、プラセボ群で4.9ヶ月であり、ペムブロリズマブ群で有意にPFSの延長を認めた(ハザード比0.52、95%信頼区間0.43-0.64、p<0.00001)。奏効率はペムブロリズマブ群で47.6%、プラセボ群で18.9%と、ペムブロリズマブ群で有意な腫瘍縮小効果が示された。PD-L1の発現割合別の奏効率の評価も実施され、PD-L1の発現割合に関わらず、一貫してペムブロリズマブ群で有意な抗腫瘍効果が示された。
Grade3-5の有害事象の頻度はペムブロリズマブ群で67.2%、プラセボ群で65.8%とほぼ同等の発生頻度であったが、治療中止の原因となる有害事象の頻度はペムブロリズマブ群で13.8%、プラセボ群で7.9%とペムブロリズマブ群で高値であった。また、免疫関連有害事象の頻度もペムブロリズマブ群で高値であったが、ペムブロリズマブ単剤と類似した発生頻度であった。本試験では急性腎障害、糸球体炎の有害事象が発生し、急性腎障害はペムブロリズマブ群で5.2%に、糸球体炎はペムブロリズマブ群の1.7%に観察され、急性腎障害については2例のGrade5症例が報告された。

 発表者のGandhi氏はペムブロリズマブのペメトレキセド+プラチナ併用療法に対する上乗せ効果が示され、管理可能な安全性プロファイルが示されたことから、ペムブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ併用療法は未治療転移性非扁平上皮非小細胞肺癌における新たな標準療法の一つになるだろうと結論づけた。

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