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未治療進行小細胞肺癌でも免疫療法+化学療法が標準治療となる時代が到来 [免疫療法]

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進行小細胞肺癌の初回治療はここ20年変化がありませんでした。 しかし、今回の世界肺癌会議(WCLC2018)がトロントで開催され、化学療法と免疫療法(抗PD-L1抗体、アテゾリズマブ)の併用で、標準治療である化学療法よりも全生存期間が延長することが示されました。
これは、近い将来の小細胞肺癌の初回治療に免疫療法が加わることを意味しています。 非小細胞肺癌だけでなく、小細胞肺癌でも免疫チェックポイント阻害剤が使われる時代となりそうです。



IMPower133:Primary PFS, OS, and safety in a Ph1/3 study of 1L atezolizumab + carboplatin + etoposide in extensive-stage SCLC

進展型肺小細胞癌における初回治療としてのアテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド併用療法の第Ⅰ/Ⅲ相試験のPFS、OS、安全性


 進展型肺小細胞癌に対する初回治療は残念ながらここ20年以上、治療の進歩がみられておらず、プラチナ製剤(カルボプラチンまたはシスプラチン)+エトポシド併用療法がファーストラインの標準療法となっている。しかし、その治療成績は良好とは言えず、全生存期間中央値は10ヶ月である。初回治療抵抗性または再発肺小細胞癌(SCLC)において、免疫療法は臨床効果を認めており、ニボルマブ単剤療法は転移性SCLCの3次療法において、承認を受けている。また、前臨床データでは抗PD-L1抗体と化学療法にはシナジー効果を有する可能性が示唆されている。IMPower133試験は進展型肺小細胞癌におけるヒト化モノクローナル抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブまたはプラセボとカルボプラチン+エトポシド併用療法の有効性と安全性を評価する第Ⅰ/Ⅲ相試験であり、今回、Liu氏らはIMPower133試験の試験結果を報告した。

 IMPower133試験は未治療の測定可能病変を有する進展型SCLCを対象とし、放射線治療を受けた無症候性の脳転移症例は登録可能であった。本試験には403例が登録され、アテゾリズマブ群(1200mg静注、day1)とプラセボ群に1:1に割付された。

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層別化因子は性別、ECOG PS、脳転移の有無であった。アテゾリズマブ群に201例、プラセボ群に202例が割り付けされ治療が行われ、本試験では導入療法を4サイクル施行後に増悪または臨床的ベネフィットがみられなくなるまでアテゾリズマブまたはプラセボによる維持療法が行われた。主要評価項目は全生存期間(OS)と担当医判定によるPFSで、副次的評価項目は奏効率、奏効持続期間、安全性であった。

 主要評価項目の全生存期間中央値は、アテゾリズマブ群12.3ヶ月(95%信頼区間10.8-15.9ヶ月)、プラセボ群10.3ヶ月(9.3-11.3ヶ月)であり、アテゾリズマブ群で有意なOSの延長を認めた(ハザード比0.70、95%信頼区間:0.54-0.91、P=0.0069)。

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12ヶ月無増悪生存率はアテゾリズマブ群51.7%、プラセボ群38.2%であった。担当医判定によるPFS中央値はアテゾリズマブ群5.2ヶ月、プラセボ群4.3ヶ月であり、アテゾリズマブ群で有意なPFSの延長を認めた(ハザード比0.77、95%信頼区間0.62-0.96)。
スライド3.JPG 重篤な有害事象はアテゾリズマブ群で37.4%、プラセボ群で34.7%にみられたが、両群で差は認めなかった。免疫関連有害事象はアテゾリズマブ群39.9%、プラセボ群24.5%とアテゾリズマブ群で高く、有害事象による何らかの治療中止の割合もアテゾリズマブ群11.1%、プラセボ群3.1%とアテゾリズマブ群で高かった。発現頻度が高いグレード3/4の有害事象は好中球減少、貧血、血小板減少であり、免疫関連有害有害事象(全グレード)では皮疹、肝炎、注入時反応であった。
発表者のLiu氏らは、IMPower133試験はここ20年間で、進展型SCLCにおけるファーストライン治療において、標準治療を上回るOSの延長を認めた初めての試験であり、アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド併用療法は進展型SCLCに対する新たな標準治療となるであろうと結論づけた。

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